このページはPR・広告を含みます
Fujiya & Miyagi新曲公開 4年かけた新作が示す職人バンドの生き残り方
Fujiya & Miyagi新曲公開 4年かけた新作が示す職人バンドの生き残り方のニュース解説イメージ
ニュース解説

Fujiya & Miyagi新曲公開 4年かけた新作が示す職人バンドの生き残り方

Fujiya & Miyagiが新作『New Shiny Object』を前に新曲「Elasticated Waste」を公開。約4年の制作期間、アナログ盤中心の予約販売から、インディーバンドが長く生き残るための戦略を読み解きます。

公開日: / 読了目安: 3分

ニュースの概要

英国のバンドFujiya & Miyagiが、新作アルバム『New Shiny Object』の発売を目前に、新曲「Elasticated Waste」のリリックビデオを公開した。アルバムは10月30日に出る予定で、レコード、CD、配信の三つの形で予約を受け付けている。制作には約4年がかかったという。関連するレビューでは、バンドらしい個性を保ちながら、以前より大胆で音の密度が高い作品に仕上がったと評されている。派手な宣伝よりも、じっくり作り込んだ音そのものを前面に出す姿勢が目立つ。流行の入れ替わりが速い音楽界で、長い沈黙を経て戻ってくるバンドがどう受け止められるのかを考える材料になる出来事である。

引用元: Fujiya & Miyagi、新作アルバム発売を前に新曲「Elasticated Waste」を公開(mxdwn Music)

分析・見解

4年という空白は弱点ではなく武器になる

新作の制作に約4年かかったと聞くと、勢いが落ちたのではと心配する人もいるだろう。だが今の音楽の聴かれ方では、この空白がむしろ効く場面がある。配信の世界では、数か月おきに曲を出さないと忘れられると言われてきた。一方でFujiya & Miyagiのように、反復するリズムと囁くような歌で独自の型を持つバンドは、流行に合わせて動く必要がない。久しぶりの新作は、それだけで「待っていた人に届く出来事」になる。

リリックビデオが担う役割は宣伝より導線づくり

今回の新曲は、リリックビデオ(=歌詞を画面に映す簡素な動画)で先行公開された。制作費の高いミュージックビデオと違い、費用を抑えながら歌詞の言葉遊びを見せられる。この方法はバンドの持ち味と相性がよい。囁き声で歌詞が聞き取りにくいぶん、文字で見せると曲名の意味や皮肉がはっきり伝わる。動画の最後に予約ページへ誘導すれば、視聴から購入までが一直線になる。小さな規模で成果を出す、手堅い設計といえる。

形のある商品を並べる予約販売の意味

予約の形式にレコードとCDが含まれる点は見逃せない。ここ数年、アナログ盤の売上は世界的に伸びており、米国では数十年ぶりにCDを上回った年もあった。ファンは聴くためだけでなく、持つために買う。ジャケットや盤の色、帯といった物の魅力が価値の半分を占める。独立系のバンドにとって、配信の再生一回あたりの収入は数分の一円にとどまる。盤の予約販売は、制作費を早めに回収できる貴重な収入源になる。

大胆になっても個性が薄まらなかった理由

レビューは、音が大胆で密度の高いものになりつつ、バンドの個性は保たれたと伝えている。長く続くバンドが変化するとき、よく起きるのは二つの失敗だ。昔の音を繰り返して飽きられるか、新しい流行に寄せて持ち味を失うかである。そこで有効なのは、変えるところと変えないところを先に決めることだ。リズムの反復や声の質感は守り、重ね方や音の厚みだけを広げる。4年という時間は、この線引きを試行錯誤する猶予だったと読める。ここにこの作品から学べる点がある。

ビジネスへの影響

長い制作期間を信頼に変える発信の組み立て

ものづくりに時間がかかる事業者は、その時間を隠さず物語として見せる方がよい。制作の途中経過を短い動画や文章で小出しにすれば、待つ期間が「期待を育てる期間」に変わる。今回のバンドも、発売直前にまず曲と歌詞を出し、予約へつなげている。小規模な店や制作会社でも、完成前の試作品を見せて予約を集める手法は使える。

物の価値と数字の価値を分けて設計する

アナログ盤とCDと配信を並べる売り方は、同じ中身を三つの価値で売り分けている。配信は入口、盤はファンへの本命商品という役割だ。この考え方は音楽に限らない。無料の試し読みと、手元に残る上質な冊子を並べる出版社、ネット予約と店頭限定品を両立させる飲食店も同じ構造である。利益は後者に偏るため、物の側の魅力に投資する価値がある。

小さな組織が真似できる三つの行動

第一に、新作の告知は発売の二週間前から始め、先行公開物を一つ用意する。第二に、予約特典など「今買う理由」を数量限定で設ける。第三に、変えない核を言葉にしておき、新しい試みをその枠内で行う。この三つは大きな予算を必要としない。重要なのは、一度離れた顧客を呼び戻す仕掛けを、発売前から組み込んでおくことである。

関連記事

[PR]

この記事をシェア